研究の概観

ソーシャル・コンピューティング研究室は, 奈良先端科学技術大学院大学において,今後必要となる新しい情報学の先端研究を推進することを目的とし, 2015年9月に設置されました. 当研究室では,新しい学問領域を開拓すべく,学際的な研究及び教育を行っています.

2016/08/03 荒牧英治

ソーシャルメディアで病気を予防する


感染症の流行は,毎年,百万人を越える患者を出しており,常に重要な国家的課題となっています. 本研究室では,代表的なソーシャルメディアであるTwitterからインフルエンザなどの感染症の予測/現状把握を行っています. 本研究は,Twitter応用の代表的研究として,多く引用され(被引用数270本; 2016現在),高く評価されました. また,この技術を応用した製薬会社のサイト「カゼミル」は,世界最高峰の広告コンクールであるCLIO Healthcare Awards でのGold Awards (最高賞)など多くの賞を受賞しました.
現在,AMED「迅速・網羅的病原体ゲノム解析法の開発 及び感染症危機管理体制の構築に資する研究」に採択され,実用化に向けて研究が推進されています.

応用例

  • インフルエンザ・サーベイランス・サービス「インフルくん」



  • TwitterでiPS細胞や再生医療に関する国民の理解を調査

    SNSで社会がどう変化しているか,まだ結論は出ていない. ただおぼろげながら世論や民意が見えてきたことは確かだ。 日和見層の特定やスキャンダルポリティクスに効果を発揮する。世論の動的な変化を計測できれば、従来の世論調査よりも素早く民意の変化に対応できる。 日本では再生医療の意識調査など、ソフトなテーマに応用されている。奈良先端科学技術大学院大学の若宮翔子博士研究員らはiPS細胞への期待や懸念を解析した。「SNS上の誤解拡散を防いだり、迅速に訂正する支援システムに応用したい」という.

    日刊工業新聞「深層断面/ホント? ウソ? AIがフェイクニュース判定−「計算社会科学」への期待」より (https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421520)



    不動産検索のためのTwitterからの街情報収集 100nin map プロジェクト

    "100ninmap project"とは、
     1.ぷらぷらと街を歩いて、
     2.その場で感じたことをスマートフォンで位置情報とともに発信し、
     3.その情報を集めることで、みんなの「街の感じ方の地図」をつくろう
    という研究プロジェクトです。
    街歩きにモバイル機器や自然言語処理などのICT技術を導入し、「位置情報付き自然言語データ」の収集および分析・活用を図るべく、2013年にスタートしました。 現在は京都市内の企業・団体とも連携しながら、イベント開催やスマートフォンアプリ開発を通じてプロジェクトを進めています。

    言葉を測り 認知症の兆候を捉える

    世界に類をみない超高齢化社会を迎える本邦にとって,高齢者への医療対策は重要な課題です. とりわけ,認知症は,その予備軍(MCI)も含めると4人に1人の割合となり,その医療費は10兆円規模と算定されます(平成22年 厚生労働省). 認知症の対策には,治療法の確立もさることながら,一方で早急に症状を発見し,その進行を遅らせることで,健康な期間を延長し,介護が必要となる期間を短縮することも重要です.
    本研究では,簡便かつ負担のない検査として,記述した文章や発話内容から認知症を予期する研究を行っています. これの研究は,音声収録,動作測定,3壁面に画像を投影可能な会話フィードバック環境である 「スマート茶室」を用いて行っています.

    報道

  • 日本経済新聞(夕刊;平成28年12月24日)に認知症研究が紹介されました.


    医療文章から正確に情報を抽出する

    平成13年度に政府が発表した 「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」にて, 電子カルテシステムの普及が課題の一つとして掲げられて以降, 急速に医療のIT化が進み, その結果, かつてない大量の臨床データが電子化された状態でストックされつつあります. しかし,カルテは個人情報の塊ともいえ, 大規模にカルテを共有し解析するためにはこれらの匿名化や標準化が必要となります.
    当研究室では,このカルテの大規模解析技術を研究開発しています. 開発された技術は,日本内科学会,日本循環器学会などの症例検索システムとして運用されています.

  • 関連サイト

    進行中の企業共同研究