研究の概観

ソーシャル・コンピューティング研究室は, 奈良先端科学技術大学院大学において,今後必要となる新しい情報学の先端研究を推進することを目的とし, 2015年9月に設置されました. 当研究室では,新しい学問領域を開拓すべく,学際的な研究及び教育を行っています.

2016/08/03 荒牧英治

ソーシャルメディアで病気を予防する


感染症の流行は,毎年,百万人を越える患者を出しており,常に重要な国家的課題となっています. 本研究室では,代表的なソーシャルメディアであるTwitterからインフルエンザなどの感染症の予測/現状把握を行っています. 本研究は,Twitter応用の代表的研究として,多く引用され(被引用数270本; 2016現在),高く評価されました. また,この技術を応用した製薬会社のサイト「カゼミル」は,世界最高峰の広告コンクールであるCLIO Healthcare Awards でのGold Awards (最高賞)など多くの賞を受賞しました.
現在,本研究は,新システム「NAIST-ARS (All Range Surveillance System)」として, AMED「迅速・網羅的病原体ゲノム解析法の開発 及び感染症危機管理体制の構築に資する研究」に採択され,実用化に向けて研究が推進されています.

応用例

  • インフルエンザ・サーベイランス・サービス「インフルくん」
  • Twitterによるインフルエンザ流行予測「インフルくん」 NHK取材(2013/10/21)(約7分)

    報道

  • 日経産業新聞(2017年01月27日)にインフルエンザ研究が紹介されました.
  • Japan Times に花粉症研究が紹介されました.


    言葉を測り 認知症の兆候を捉える

    世界に類をみない超高齢化社会を迎える本邦にとって,高齢者への医療対策は重要な課題です. とりわけ,認知症は,その予備軍(MCI)も含めると4人に1人の割合となり,その医療費は10兆円規模と算定されます(平成22年 厚生労働省). 認知症の対策には,治療法の確立もさることながら,一方で早急に症状を発見し,その進行を遅らせることで,健康な期間を延長し,介護が必要となる期間を短縮することも重要です.
    本研究では,簡便かつ負担のない検査として,記述した文章や発話内容から認知症を予期する研究を行っています. これの研究は,音声収録,動作測定,3壁面に画像を投影可能な会話フィードバック環境である 「スマート茶室」を用いて行っています.

    応用例

  • 医学会総会での学術展示映像(約2分)
  • 言語測定デモ映像(約1分)

    報道

  • 日本経済新聞(夕刊;平成28年12月24日)に認知症研究が紹介されました.


    医療文章から正確に情報を抽出する

    平成13年度に政府が発表した 「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」にて, 電子カルテシステムの普及が課題の一つとして掲げられて以降, 急速に医療のIT化が進み, その結果, かつてない大量の臨床データが電子化された状態でストックされつつあります. しかし,カルテは個人情報の塊ともいえ, 大規模にカルテを共有し解析するためにはこれらの匿名化や標準化が必要となります.
    当研究室では,このカルテの大規模解析技術を研究開発しています. 開発された技術は,日本内科学会,日本循環器学会などの症例検索システムとして運用されています.

    応用先

  • 日本内科学会症例報告検索システム (日本内科学会会員のみ閲覧可能です)

  • 日本語カルテの言語処理コンテスト


    近年,電子カルテの普及につれ,医療分野での言語処理の重要性が増しています. 欧米では,技術を効率よく,かつ,再現性をもって開発するために,研究者が共有可能な標準データの整備,及び,標準データを用いたコンペティション形式のワークショップが開催され,リソースが集積されつつあります. しかし,非英語,特に日本語において,このようなデータはなく,医療文書の解析技術の開発に興味はあるがデータを持っていない研究者や,解析技術を適用する場を持っている企業の新規参入の障壁となってきました. 以上のような背景から,本研究では,研究利用が可能な日本語のアノテーション済み医療文書を構築し,これを用いた解析タスクと共に研究コミュニティに提供しています. 本研究室が提供する日本語カルテデータは,現在,非英語言語での唯一の研究利用可能なカルテデータであり,本データを用いたワークショップには,2011年には国内12グループ(27システム),2013年にも12グループ(45システム)が参加しました. 海外(7グループ)や企業(7グループ)からもの参加も多く,本邦における医療言語処理における基盤を提供しています.

    関連サイト(競争型国際ワークショップ NTCIR)

    関連サイト


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    ニュース

    進行中の企業共同研究

    進行中の科研プロジェクト

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